NEXT to Focus #5|ハイブリッドの良さは実感、でも・・・ルノー・アルカナ

このブログは自動車評論家ではない筆者が、フォード・フォーカスの次に乗りたいと検討した車を乗り味、デザイン、使い勝手、そして所有感が持てそうなことに焦点を当てた超主観的な試乗記である。
判断基準とするフォード・フォーカスは2013年製。
7代目フォルクスワーゲン・ゴルフが登場する前年の2011年から販売され、2012年上半期には、単一車種として世界で一番売れたグローバルカーである。
但し、この車を日本国内で見かけることはほとんどない。

今回は気になっている車リストになかったルノーのアルカナ。
今後、ルノー車で展開されるであろうユニークなハイブリッド・システムを体験試乗してみた。

地上高20cmは必要?+3cmで立体駐車場に入らないぞ

ルノー・アルカナには、ストロング・ハイブリッドとマイルド・ハイブリッドの2車種がラインアップされている。
今回試乗したのはグループの日産e-POWERではなく、ルノー独自に開発したパラレル方式によるストロング・ハイブリッドの方だ。
海外勢のほとんどが、小排気量ターボ ⇒ マイルド・ハイブリッド ⇒ BEVと進む中、ルノーも決して例外ではないものの、ここにきて全く新規のストロング・ハイブリッド車を出してきたことは興味深い。
このハイブリッド・システムは、筆者が購入候補に挙げているメガーヌに採用される予定がないとのことだったが、アルカナはメガーヌと同じCセグメント車とのことで試乗を勧められた。
そんなこともあり、アルカナに関してのここでの感想は良くなるはずがないことを前提に読んで欲しい。

そもそもアルカナは全高158cmと実に中途半端な大きさのSUVである。
流行りのクーペSUVスタイルにしたかったのだろうが、地上高が20cmもある為に立体駐車場には入らないは、近くで見るとデカさを感じ、せっかくのクーペ・スタイルが全然生かされていない。
これでは床下にバッテリーを敷き詰めざるを得ないBEVとスタイル上での差別化ができない訳だが、あえてBEVぽく見せたかったのかとも思える。
車高を地上高で稼いでいるため、アルカナの車内はSUVとしては思ったほど広くない。
特に後席はフランス車あるあるで、ホイールベース2720mmもありながら、足元も広くないし、天井は低いし、である。
FFでマニュアルモードもないAT(マイルド・ハイブリッドの方は普通の7速DCT)となれば、単なるクロスオーバー・クーペなのだから、地上高は15cmもあれば十分と筆者は考えるが・・・。

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ユニーク過ぎるハイブリッドシステムを筆者なりに解説

さて、ルノーのストロング・ハイブリッドの最大の特徴はドッグクラッチと言う噛み合い型のクラッチが採用されていることだろう。
DCT(DSG)はクラッチ板の滑り抵抗でギアを繋げる為、ハイパワーになればなるほどクラッチ板の摩耗が問題になる。
半クラッチ状態のないドッグクラッチは、変速ショックが発生する反面、小型軽量化ができ、かつ、クラッチ板の摩耗問題からも解消される。
いや、変速ショックを減らすには多段化が避けられず、実際には小型軽量化に反するのではとの疑問が生じるのだが、アルカナの変速ギアは4段(他にモーターが2段)しかない。
ルノーはギアを多段化せず、エンジン回転をモーターで制御するようにして変速ショックを回避しているようだ。
このような仕組みで思い起こされるのはホンダのi-DCD。
但し、ルノーのクラッチ用モーターはi-DCDのように走行用を兼ねることがなく、走行用には別のモーターが使われているとのことだ。
その理由は半クラッチ状態のないドッグクラッチを採用したためと思われるが、i-DCDもモーターによって半クラッチを回避しており、結局、両者の違いはギアの繋ぎを噛み合いで行うか滑り抵抗で行うかしかないように思える。
まぁ、素人の筆者がこれ以上メカの難しい話をすると墓穴を掘りそうなので止めにしておくが、少なくとも同類のi-DCDは過去のものになりつつあるのが気になる所だ。

最適なドライビング・ポジションが取れないぞ

アルカナは筆者にとって最適なドライビング・ポジションが取れない車だ。
これはほぼ同じサイズ感のマツダCX-30でも経験したことなのだが、ハンドルを目一杯体に寄せても12時の位置に手が届かないのだ。
アルカナやCX-30のハンドルはフォーカスに比べ水平方向への傾きが大きい。
このため、ハンドルの12時と6時の位置で、体からの距離が大きく違ってしまう。
ハンドルの位置は12時の時に腕が軽く曲がる程度が理想だが、アルカナはハンドル調整の範囲が狭いために、筆者のシートポジションだと12時の時に腕が延ばし切った状態になってしまう。
かと言ってシートの背もたれを立てたら天井に頭がついてしまうので、シートを必要以上に前に移動せざるを得ないのだ。
ハンドルの位置調整は計器類が見える位置も関係して制約が多い。
計器類がディスプレイ表示に変わった今、ディスプレイも可動式にすれば良いと思うのだが、デザイン上の問題なのか、そのような車は少数派のようだ。
いや、もっと発想の転換を図るなら、ドライバーの頭の位置を基準にして、ハンドルや計器類の位置が調整でき、床面を可動式にしてアクセルとブレーキの位置が調整できる方が良いように思えるのだが。

今の車、どこで売る?

純EVと純エンジンの両方を体感できる不思議なハイブリッド

そろそろ試乗の感想を書こう。
アルカナの走り出しは、エンジン停止状態のままモーター走行になる。
交通量の多い街中では、20Km/h程度のSTOP & GOが繰り返される間、ずっとモーター走行のままだ。
周りの車のエンジン音と異なるヒュィーンと言うモーター音は結構はっきりと聞こえる為、それほど静かさは実感できない。
ただヒュィーンと言うモーター音と、滑らかな走り出しは明らかにエンジン車とは異なっており、EV走行を体感できることから、これはこれでアリなのかも知れない。

EV走行から速度を増すとエンジンがかかりハイブリッド走行となる。
けっして大きな音ではないが、ヒュィーンと言う音がかき消される程度ではあり、切り替えがはっきりと分かる。
エンジンの振動も伴うからなおさらだ。
アルカナのハイブリッドシステムは低速時以外エンジンが止まることはないようで、この状態になるとモーターアシストの有無を感じることはできない。
実際には1.6リッターNAエンジンにモータートルクが加わっているのだろうと思うが、アクセルレスポンスがそれほど良くないので、もっさり感のある走りが非力な車の印象になってしまっている。
ドッククラッチの変速ショックをなくすためなのかも知れないが、ギアチェンジに時間がかかり、ドライブモードをSportsにしても単にエンジン回転数が高めになるだけで、優雅にゆったりと走らせる車のようだ。
但し、アクセルの踏み込みに応じてエンジン回転数が上がるので、ストロング・ハイブリッド車にあるようなエンジン走行と異なる違和感はない。
減速時においても車が停止するかなり前からEV走行に切り替わるため、回生ブレーキが勝手にかかりブレーキの効きのブレが生じるような違和感もなかった。
ちなみにアルカナのBレンジは結構効きが良く、ほぼワンペダル走行が可能だ。
DからBに切り替えた時にも変速ショックは皆無なこと、スポーティーな走りの出来ないことを考えると、あえてパドルシフトが無くても何ら不満の出ないクルマだとは思う。

ルノーはプロモーションに失敗しているのではないか

アルカナのストロング・ハイブリッド車に対して、ルノーは「ダイレクト感」を売りにしているが、それはドッククラッチからイメージするスポーティーさではなく、フツーのエンジン車のようなアクセルワークが味わえると言う意味なのだろう。
但し、アクセルに対するエンジンの呼応にひと呼吸あるため、ドライバーにとっては操っている感に乏しく面白みに欠ける。
こういう感想を持ってしまったのは、ルノーからの事前説明で筆者が誤解したせいもありそうだ。
最初の話に戻そう。
なぜルノーはグループの日産e-POWERを採用しなかったのか。
もちろん日産がe-POWERの技術供与を拒んだ可能性もある。
しかし、その答えは「ダイレクト感」ではなく「ピュア感」をルノーは求めたのではないかと。
アルカナは純EV走行と純エンジン走行(実際はハイブリッド走行)の両方を味わえる真のハイブリッド車だ。
一方、e-POWERはEV走行にエンジンの雑音が伴うハイブリッド車だ。
他社の多くのストロング・ハイブリッド車は、エンジン走行と発電を同時に行う際にアクセルの踏み込み具合と異なる動きが生じやすい。
また、そもそも130km/h超えの高速走行が当たり前のヨーロッパでは、EV走行しかできないe-POWERは不利だ。
比較広告に消極的な日本で、自動車評論家らのマスコミがルノーの新しいハイブリッドシステムを紹介する際、ドッククラッチを前面に出してしまったことや、ルノーの営業マンも報道記事に準じた説明をしたために、このハイブリッドシステムの真の利点がユーザに伝わらなかったように思える。
また、違和感だらけのストロング・ハイブリッド車に慣れている日本のユーザには、この「ピュア感」を伝えるのは容易でないのかも知れない。
ただ、この車は走らせても面白くないのが最大の欠点だ。
多少の変速ショックを伴っても構わないので、ギアチェンジをもう少し短時間で済ませられればスポーティー感やトルク感が出てきて面白くなると思われる。
必ずしも優等生が良いとは限らない。
クルマって奥が深いなぁ。

Next to Focus が見えてきた

さて、筆者がフォード・フォーカスの次に乗り換える車は、検討した順に、フォルクスワーゲン・アルテオン(内外装のみ確認)、ルノー・メガーヌ・スポーツツアラー、シトロエン・C4、プジョー・2008(C4のガソリン車を検討の為)、マツダ・MAZDA3(SKYACTIV-G 2.0とe-SKYACTIV Xの2WD車乗り比べ)、ルノー・アルカナ(新ハイブリッドシステムの確認)と、既に7台にもなる。
モーターアシストのない1.2リッター3気筒ターボであっても走り出しに不満のなかったプジョー・2008。
一方、1.3リッター4気筒ターボのルノー・メガーヌ・スポーツツアラーの走り出しはかったるくモーターアシストが必要と感じた。
この傾向は代車で乗ったジープやフォード、フォルクスワーゲンの小排気量ターボ車でも感じたので、プジョー・シトロエン以外のガソリン車にはモーターアシストが必須なのだと思う。
また、マツダのe-SKYACTIV Xや今回のルノーのストロング・ハイブリッドのようにモーターアシストなしでは走れない車もある。
プジョー・シトロエンの8速ATのDCT(DSG)風の走り出し感も悪くはないのだが、アルカナのEV走行のスムーズな走り出し感は、何クラスも上の大排気量エンジン車でもなければ味わえないもののように思えた。
そう考えるとBEVの方が良いのかな?
いや電欠を気にするなら割高でもPHEV?
走り出しだけにこだわるならストロング・ハイブリッドもあり?
との迷いが出てきた。
ただひとつ言えるのは、今更、マイルドハイブリッドはないなぁである。
また、筆者は1台持ちでロングドライブもしたいので、現状の日本の充電インフラを考えるとBEVの選択肢もない。
結果、次に乗り換える車はPHEVまたはストロング・ハイブリッド車に絞ろうと思い、試乗予定(気になる車)リストを以下のように更新した。

  • フォルクスワーゲン・アルテオン
  • ルノー・メガーヌ・スポーツツアラー
  • シトロエン・C4
  • シトロエン・C5X(PHEV)
  • プジョー・308SW(PHEV)
  • マツダ・MAZDA3
  • ホンダ・CIVIC(e:HEV)
  • スバル・レヴォーグ

ところで読者の中でリストにトヨタ車や日産車がなぜないのか気になる方もおられると思う。
トヨタ車ならカローラスポーツやプリウスが思い浮かぶ。
車をコモディティとみる人ならコスパの優れるトヨタ車はアリだが、筆者は所有感を求めるので数の出そうなカローラやプリウスはナシだ。
一方、日産車ならe-POWERなのだが、残念ながらCセグメントのハッチバック車はBEVのリーフしかないのだ。
何と国産車でEV走行に期待の出来るのはホンダ・CIVIC(e:HEV)のみとは淋しい限りだが、世界的にはSUVが主流となり、日本ではSUV以外は軽ワゴンとミニバンばかりが売れるようでは仕方がないのかもしれない。

コメント

  1. amgのり より:

    面白い観点のレビューですね。
    かなり独自の感想が入ってるので、共感できる人には参考になるかもしれませんね。

    ただ、レビューするならもう少し事実確認くらいはできる範囲でした方がいいと思いました。
    例えばなぜ、e-powerを採用しなかったのか?くらいは分かってレビュー書かないと的を外した感想になりがちだと思います。
    客観的観点もあった方がより良かったかもですね。

    • @NakaiManbou @NakaiManbou より:

      私の試乗記の中でこのページ、なぜか読まれている方が多いのが分からなくて、、、
      e-POWERはハイブリッドじゃないと言われればごもっともなんですが、ご指摘の内容、精査して本文を修正しようかとも思ったのですが、あくまでも素人の超主観的試乗記としてお読みいただけたらと思います。

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