NEXT to Focus #6|バーチャル・エンジン車と呼びたい、ホンダ・CIVIC e:HEV

このブログは自動車評論家ではない筆者が、フォード・フォーカスの次に乗りたいと検討した車を乗り味、デザイン、使い勝手、そして所有感が持てそうなことに焦点を当てた超主観的な試乗記である。
判断基準とするフォード・フォーカスは2013年製。
7代目フォルクスワーゲン・ゴルフが登場する前年の2011年から販売され、2012年上半期には、単一車種として世界で一番売れたグローバルカーである。
但し、この車を日本国内で見かけることはほとんどない。

今回はホンダが主に欧州市場向けに開発したと思われるCIVIC(シビック) e:HEV。
CIVIC e:HEVは欧州での排出規制で販売ができないタイプRの代わりになりえるのか興味深い。

やはり日本で売る気なし?

コロナ前、半導体不足もなく自由に車が生産販売できた2019年の世界ランキングを見てみよう。
第1位:トヨタ・カローラ 148万2932台
第2位:フォードFシリーズ 107万348台
第3位:トヨタRAV4 96万1918台
第4位:ホンダCR-V 82万3237台
第5位:ホンダ・シビック 81万7902台
第6位:フォルクスワーゲン・ティグアン 77万84台
第7位:日産エクストレイル 76万1081台
第8位:ダッジ・ラム 75万4172台
第9位:日産シルフィー 72万9218台
第10位:フォルクスワーゲン・ポロ 72万4508台
・・・
第13位:フォルクスワーゲン・ゴルフ 64万1322台
・・・
第20位:ヒョンデ・エラントラ 51万3813台
フォードFシリーズとダッジ・ラムはピックアップトラック。
トヨタRAV4、ホンダCR-V、フォルクスワーゲン・ティグアン、日産エクストレイルはSUV。
残るセダン・ハッチバック系でCセグメント車は、トヨタ・カローラ、ホンダ・シビック、日産シルフィー、フォルクスワーゲン・ゴルフ、ヒョンデ・エラントラの5車種が20位までに入っている。
一方、Bセグメント車は10位のフォルクスワーゲン・ポロが最高位で、トヨタ・ヤリスが17位、スズキ・スイフトが18位にとどまっている。
自動車市場では北米と中国が大きいためか、この状況は日本や欧州市場からは中々想像できないのではないだろうか。
まぁ、トヨタ・プリウスとホンダ・フィットが20位までに入れなかったのは、日本での不人気から想像できるが。

ところで、日本でのシビックはカローラに対して割高だが、海外ではゴルフもカローラも同じ価格帯の車だ。
カローラに合わせた国内での価格設定をしているマツダ・MAZDA3やスバル・インプレッサに対して、ホンダはあくまでも日本での販売台数から価格を算出しているのだろう。
結果的にシビックはプジョー・308と同価格帯の車になっている。
ホンダとしては北米で十分稼げているシビックを、日本でカローラと対抗させたところで販売台数で延ばせる余地は限られており、わざわざ儲けを削ってまでも価格を下げる気はないのだろう。
日本でのCセグメント・ハッチバック車は、何かしらのこだわりを持つユーザ層がターゲットになる。
筆者もそのひとりであって、輸入車も含めて購入検討をしており、最終的な選択は、価格差に見合う満足度が得られるか否かだ。
カローラスポーツのハイブリッドとCIVIC e:HEVは、車両本体価格で100万円以上もの差がある。
いかにもスポーツカー的な内装のカローラスポーツに対して、CIVIC e:HEVは大人しめの内装になぜかタイヤだけはミシュランのパイロット スポーツ 4を履く。
内装、外装共にカローラスポーツよりワンランク上であることは分かるが、その差が100万円に相当する程あるのか確認してみたいところだ。

実車の印象は「悪くない」

シビックの外観はハッチバックと言うより、車高が低いせいもあって全長の長いクーペセダンに近い。
ほぼ似た形のマツダ・MAZDA3ファストバックはラゲッジスペースの側面に窓を設けていないからかハッチバックのイメージがあるのと対照的だ。
SUVやミニバン、軽ハイトワゴンが主流の国内において、シビックのようなスタイルの車は意外と目にすることが少ない。
そもそもシビックの日本での販売台数は新型でかなり売れているようだが、それでもメルセデスベンツ・Cクラスを下回り、せいぜいフォルクスワーゲン・ゴルフと肩を並べる程度だ。
これらと同じぐらいのサイズ感のあるシビックは、そういった意味で国籍不明の車になってきている。
特に特徴のあるデザインでもないのに、伝統的なコンパクトセダンの形をしたCクラスやハッチバックスタイルを貫くゴルフとシビックは明確に異なる。
誰もが知る三角おむすびのトヨタ・プリウスとも異なる。
だから「何だあの車は?」となるのがシビックかも知れない。
もちろん前から見れば、おなじみのホンダ顔でアコード?、シビック?となるのだが、車に詳しくない人にはそもそもアコードやシビックは今や死語のようだ。

改めて日本におけるCIVIC e:HEVの購入層からライバル車を考えてみると、輸入車や国産のプレミアムカーではと思われる。
少なくともカローラスポーツやスバル・インプレッサを検討している購買層からすると、最上位グレードよりも100万円も高いCIVIC e:HEVは検討対象になり得ないだろう。
フォルクスワーゲン・ゴルフであれば、下から2番目のグレードのeTSI Activeで、マイルドハイブリッド車だ。
プジョー・308ならば上位グレードGTのディーゼルが選べ、下位グレードしか選べないガソリン車であれば340万円とコスパが高い。
ハッチバックとは呼べないようなスタイルのシトロエン・C4なら上位グレードのガソリンで367万円。
自治体の補助金によってはBEVのË-C4ですら400万円前半で買えるはずだ。
また、下位グレードにはなってしまうが、アウディ・A3スポーツバック、BMW・116iと言ったプレミアム輸入車も同価格帯の車になる。
国産車ではマツダ・MAZDA3ファストバックのe-SKYACTIV Xの最上位グレード。
販売終了となってしまったが、レクサス唯一のハッチバック車のCTも該当する。
CTの新型?に相当しそうなトヨタ・プリウスなら四駆の最上位グレードが同価格帯になりそうだ。
こちらも補助金によっては、PHEVも候補に加わる可能性はある。

ライバル車を思いつくままに挙げてみたが、MAZDA3やプリウスは、スタイルやブランドで選ばれている可能性が高く、ライバルにはなりづらい。
また、下位グレードが同価格帯になるような車は、ブランドイメージが先行するだろうから、こちらもライバルにはなりづらいだろう。
変わり種のC4を加えても、シビックのライバルとなりそうなのは他にゴルフと308ぐらいしかないと思われる。
さて、C4、ゴルフ、308に対して、シビックの外観を見た第一印象は・・・。
「おぉ、意外と大きい」
である。
別途、試乗記で紹介するが、全幅が50mm以上も上回る308よりも大きいと錯覚するスタイルは、フロントマスクのデザインと全高の低さからと思われる。
また、全長においては他よりシビックの方が20cmぐらい長いので、実際に大きいのだ。
マッスルカーの小型版のようなデザインは、北米と中国ユーザの好みを反映したものなのだろう。
後ろはブレーキランプが点くと最近流行りの横一文字のランプ点灯?、いや、弧を描くところがシビック流で差別化が図られている。
また、全高が低いのと、絞り込んだデザインが強調されており、SUVにありがちなデザインと明確に異なる。
筆者的には「う~ん。中々悪くないぞ」(ある意味、今の日本では個性的なのだ)

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見劣りする質感は「シビック」だから?

CIVIC e:HEVの車内は、300万円後半の車にありがちなレザー電動シートが採用されている。
黒に赤の入ったスウェード調のレザーシートには通気孔があるもののベンチレーション機能はない。
後席もシートヒーターやリクライニングが付かないものの、シートに限って言えば、質感は価格相応と言えなくもない。
まぁ、コスパ的には300万円を下回るスバル・インプレッサスポーツSTIだってレザーシートだし、マツダ・MAZDA3ファストバックもだ。
このあたりは見た目よりも実際に触れてみないと質感の違いは分からないが、但し、それが何10万円もの価格差に相当するのかは確かに疑問ではある(繰り返しになるが、インプレッサスポーツやMAZDA3と比べる人は、そちらを買えば良いと思う)
同価格帯のフォルクスワーゲン・ゴルフはファブリックシートと実用性重視が貫かれている。
輸入車のシートと比べ、素材や質感はともかくとして(座り心地に関して、少なくともプジョー・308とは比べ物にならないほど悪い)、CIVIC e:HEVのシートにはこのクラスには珍しくランバーサポートの調整機能がない。
強いサポートが必要なら、別途、クッションを用意しろと言うことなのか。
ベンチレーション機能がないからクッションを挟んでも支障はないのだが、なぜ?である。
また、SUVのZR-Vにはあるシートポジションメモリ機能もないのは、複数のドライバーが交代して乗るような車ではないからと良いように解釈しよう。
ZR-Vはファミリーカー、CIVIC e:HEVはパーソナルカーと言うことか。
ホンダの営業はシートに対する考え方の違いと言うが、サイドサポートが柔らかすぎるのと、背もたれのフラット面の幅が大きすぎて、体が左右に振られてしまう。
ちがう言い方をすれば、マッチョなアメリカ男性に合わせたサイズにシートが作られているのかも知れない(平均的な日本人男性の胴回りはアメリカ人より20cm、欧州人より10cmも細いらしい)
この結果、1時間ぐらい座っているとお尻が痛くなってくる。
このシートはダメだ。

CIVIC e:HEVのドアトリムやダッシュボードは、プレミアムカーではないC4、ゴルフ、308などと同様、前席まわりの一部にレザーやソフトパッドが用いられたりと素材的な違いはない。
言い換えると国産車で価格的にワンランク下のインプレッサスポーツやMAZDA3、カローラスポーツとも大差がないのだ。
シビックの質感が他車より見劣りしてしまうのは、単調な色使いと後述する実用性を重視したオーソドックスすぎるデザインにあると思われる。
ちなみに、国内向け仕様ではアンビエントライトの大半がディーラーオプションとして外されており、
フル装備すると取り付け費用が嵩み約18万円高にもなるのはいかがなものか。
一方で、サンルーフや後席用のUSB端子(2口)や室内灯(後席左右)なども省かれているが、こちらはディーラーでの取り付けができないために、国内向け仕様では装着不可だ。
後席のヘッドレストをわざわざ国内向けに高さのないものに変更しているのもいただけない。
シビックの後席の背もたれは比較的角度が付いているので、ヘッドレストに頭を付けるような乗り方になる。
後席に座る人は様々な体型なので、ヘッドレストに高さがないと、背の高さに合わせていちいち調整が必要になってしまう。
後席に関しては、センターアームレストとドア側のアームレストとの高さが揃っていないのも謎の仕様だ。

運転席まわりは、完全に輸入車に見栄えで負けている。
しかし、操作性や視認性からすると、CIVIC e:HEVは非常に理にかなっている。
それは単にエアコンの温度調節がダイアル式とかにとどまらない。
例えば、インフォメーションディスプレイは視界を遮らない範囲で大きく、視線の移動が少ないベストな位置にあり、デザイン的には好ましく思えないが、走行時にも操作ができるように親指をのせる段差が設けられたりしている。
実用性重視は正にシビックだからなのかも知れない。

乗り味はプレミアムカーかも

さて、そろそろ試乗インプレッションを書こう。
CIVIC e:HEVはハイブリット車であるため走り出しはモーターのみとなる。
エンジンのかかっていない状態からモーター音もほとんど聞こえない走り出しは、モーターならではの滑らかと力強さがある。
恐らくノイズキャンセラーで高音域がカットされているのだろうか、モーター音が静かなのに比べ、ロードノイズが大きく聞こえる。
エンジン音は加速時に聞こえるのみで、こちらもロードノイズにかき消されてしまう。
結果としてロードノイズの大きさが目立つのだが、これをノイズキャンセラーで消さない意図は何なのか。
この車は路面の凹凸による細かな振動を良く抑えられている。
しっとり系の乗り味の車だと凹凸に対して車がゆっくりと上下に追従し、路面に貼り付くような乗り味なのだが、CIVIC e:HEVはさらさら系で、凹凸に素早く追従はするものの上下動が小さく、路面からわずかに浮くようなフラットライド的な乗り味だ。
路面に対してステアリングが俊敏に反応せず、どちらかと言うとドライバーの意図に沿った軌跡に車側が合わせてくれるので、誰もが運転がうまくなったように感じるはずだ。
まさにフォーカスと同じなのだが、CIVIC e:HEVのステアリングは結構重いので、フォーカスのような優雅な運転とまではいきそうにない。
CIVIC e:HEVは路面の状態を神経質に気にすることもなく楽々運転ができてしまうのだが、これに路面の状態をドライバーが知ることでスピード感が得られ、運転が楽しくなるはずだ。
そこで、この車はロードノイズをあえてノイズキャンセラーで消さなかったのではないかと筆者は考える。
いい意味で微振動と同期するロードノイズがあるおかげでスピード感が分かるのと、スポーツカー的な乗り味のゴツゴツ感がわいてくる。
しかもロードノイズの高音域がカットされているおかげで、シャーと鳴るパターンノイズはあまり聞こえず、単にゴーゴーと鳴っている。
不思議なもので、うるさいレベルにないゴーゴー音は、乗っているうちに気にしないと聞こえなくなってくる。
つまり人間側で脳内のノイズキャンセラーが働くようだ。

さて、とても快適でスピード感もほどほどに味わえるCIVIC e:HEVであるのだが、郊外や高速道路をノンストップで走っている時に突然荒れた路面の区間になると、この車のロードノイズが意外と大きいことに気づかされ、脳内のノイズキャンセラーが効かなくなってしまう。
CIVIC e:HEVの車内の防音性は割と高いのだが、ロードノイズだけは床やラゲッジから聞こえてくる。
タイヤハウスや床の防音対策が足りていないと言うより、この車はロードノイズを聞かせようと造られているとしか思えない。
確かに、この車からロードノイズを取ったら、ハイブリッド車特有の間欠的に回るエンジン音が聞こえてくるのかも知れない。
いや、確か高速ならエンジンで走るだろうし、ワインディングでもエンジンを止めずに発電するようe:HEVを改善しているはずだ。
ならばロードノイズを減らして、スポーツモード以外でもエンジン音が聞こえるようにしても良いのではないだろうか。
モーター音が聞こえない中で、静かに回るエンジン音と時に騒々しく感じるロードノイズのどちらを採るか。
筆者的には、郊外や高速道路を一定速で走っている時に、わざわざロードノイズを意識させられたくないし、そういう時のエンジン音は静かに回っているだけで十分なような気がする。
エンジン音以外のモーター音もロードノイズも不快な雑音でしかないのだ。

CIVIC e:HEVのステアリングは重い。
重いからしっかりと握る必要がある。
だからか表面が比較的滑りやすい革巻きのステアリングは太く、手の小さい女性には向いていないかも知れない。
フォーカス乗りの筆者の手は大きいが、このステアリングは重すぎるし、フォーカスのような握り方をしていると車線維持支援システム(LKAS)で手を放していると警告されてしまう。
直進性がいいので車線維持支援システムを使わず、ステアリングに軽く手を添える運転の方が筆者には向いていそうだ。
※後に分かったことだが、ステアリングの下の方に手を添えて押さえるようにすると、比較的軽い力でも手を放していると警告されないようだ。
いずれにしても静電感知にでもしてもらえないと、筆者は車線維持支援システムを使わないと思う。

CIVIC e:HEVには3つのドライブモード(SPORT/NORMAL/ECON)とカスタムできるINDIVIDUALモードを備える。
BEVと異なりECONであっても最大出力に制限がかかることもなく、加速も変わることはない。
各モードの違いは主にアクセルレスポンスだ。
また、SPORTモードだけはエンジン音が増幅されるのだが、よくある疑似音ではなく、エンジンルームで収音した音をスピーカーから出しているようで、かなり弱めの演出、いや自然で違和感のない演出になっている。
残念なことにエンジン音の増幅は、INDIVIDUALモードで選択や音量調整ができない。
INDIVIDUALモードで実用性のあるものは、SPORTモードでハンドルを軽くするか、NORMALモードでハンドルを重くするかの2択のみだ。

今の車、どこで売る?

新型プリウスに完敗?

トヨタ・プリウス

この投稿を公開そびれている内にトヨタから新型プリウスが発表された。
デザイン一新、エンジンもモーターもグレードアップした新型プリウスは、先代の不人気から一転、好調すぎる販売になっているようだ。
筆者はプリウスをフォーカスの乗り換え候補としては考えていない。
理由は他の人とかぶり過ぎで所有感が持てそうにないからだ。
乗り換え候補として考えていない以上、トヨタの販売店に失礼なので筆者がプリウスを試乗することはしない。
そこで、ここからはあくまでも自動車評論家の方々の試乗レビューを参考にしてのコメントになる。

新型プリウスは三角おむすびの頂点をBピラー付近まで後退させたことで、走りを意識させるスタイルになったと思う。
一方、シビックはセダン車の後方をハッチバックに仕立てたクーペセダン風で大人しい。
どちらも車高が低く頭上空間に余裕はないのだが、後席に関してはセダンに近い形のシビックの方が若干余裕があるようだ。
また、プリウスはフロントガラスの傾斜が強く、身長の低いドライバーに対して圧迫感があったり、大きすぎるインフォメーションディスプレイで視界を遮られたり、速度計がハンドルで隠れたりと、ドライバーの体型によって不向きなところがあるようで評価が分かれている。
リアハッチが電動で開くプリウスに対してシビックが手動なのは、素材がプラスチックで軽いと言うこともあるのだが、電動のプリウスに魅力を感じる人が大半だろう。
レザーシートにベンチレーションが付いているのも、蒸し暑い日本ではプリウスが優る点だ。
ショールームで見る限り、やはり見栄えで完全に負けているシビックなのだ(そもそもシビックを展示している販売店などあるのだろうか)

走りに関してプリウスには後輪をモーター駆動する四駆モデルがある。
そして価格的にもCIVIC e:HEVと並ぶのはプリウスの四駆モデルになる。
トラクション・コントロールのみに頼るシビックに対して、コーナリングに関して有利なのはプリウスの四駆であるのは明らかで、かつ、プロアクティブドライビングアシスト(道路情報を読み取って進行方向のハンドルの切れを軽くする)と言う運転支援機能も備わっている。
筆者自身がプリウスを試乗していないので断定はできないのだが、一般的な走りならプリウスの方が良いのではと思ってしまう。

また、プリウスの方が扁平率の大きい幅狭タイヤを履いているのでロードノイズ的にも有利だ。
単に静かな車を求めるならプリウスになるだろう。
CIVIC e:HEVはEV的なハイブリッド車ではなくエンジン車的なのだ。
繰り返しになるが、ハイブリッド車からエンジン音を消すのは不可能だ。
EV車からロードノイズを消すのも不可能だ。
プリウスの進化は正常系なのだろうが、静かな車を求めたらPHEV、ゆくゆくはBEVへとなってしまい、ハイブリッド車では満足しないのではないかと思われる。
一方、CIVIC e:HEVはプレミアムなエンジン車を最終形にしているので、ハイブリッド車であって構わない。
ハイブリッド版プリウス、CIVIC e:HEV、どちらが満足度を高く保ちながら乗り続けられるのか、筆者的にはPHEVのプリウスはあってもハイブリッド版の選択肢はない。
プリウスPHEVには四駆タイプがないらしい。
価格を最重要視するトヨタとしては、四駆のPHEVは割高すぎると考えたのだろう。
むしろBEVにした方が割安になる可能性も出てくるが、それはプリウスでなくなる時だ。

なぜ「インサイト」にしなかったのか

CIVIC e:HEVに搭載された2.0L直4エンジンは、アクセルに呼応して回転数を上げるものの、決して唸るようなことはなく常に静かに回る。
ホンダはCIVIC e:HEVをスポーツ・ハイブリッドと言うが、確かにアクセルに呼応したスムーズな加速はあるものの、べた踏みしても大出力EV車のようなGを感じる加速感を得ることはできない。
この車はノイズキャンセラーで高音域を消したことでモーター音が消え、ご太いエンジン音を強調させて、音による加速感を出している。
モーター音が聞こえないのと、静かに回るエンジン音が軽々とした走りによって、気付かない内にスピードが上がってしまう。
よって、速度を音で感じ取るとしたらロードノイズの周波数の高まりになる。
ロードノイズは速度に応じて大きくもなるのだが、この車のノイズキャンセラーは高音域をカットする為、理論的には音量は大きくなりづらい。
但し、この素晴らしいシステムは残念ながら均質な路面状態の続かない一般道ではうまく機能しないようだ。
速度に関係なくロードノイズが大きくなったり小さくなったりが気になって、周波数が上がっていく気持ちよさを体感できないのだ。

筆者は、CIVIC e:HEVをスポーツ・ハイブリッドと呼ぶには無理があると思う。
この車をシビックとしての共通の味付けにしようとして、高まらないエンジン音に替えてロードノイズを使うこと自体に無理がある。
素直にロードノイズを減らして、アコードに寄せた味付けにした方が良いと筆者は思う。
アコードは日本の道には大きすぎると思う人は多い。
また、セダンよりもハッチバックやシューティングブレークの方が、小さなCセグメント車には適している。
であれば、アコードの格下とも言えるインサイトになると筆者は思う。
インサイトであれば価格的にもアコードとの比較になるから納得だ。
シビックとデザインでの差別化が図れることでも、ガソリン車との価格差が気にならなくなる。
タイヤも無理をせずに17インチのコンフォート系にした方がウケがいいはずだ。

そもそもシビックの購買層はお金があればタイプRが欲しいはずだ。
リセールバリューを考慮すればCIVIC e:HEVとの価格差はゼロかむしろ逆転もありうる。
シビックはタイプRに人気が集中するのは当然の結果と言える。

ホンダ・シビック タイプR

それでもCIVIC e:HEVはフォーカスよりは良い

10年も前のフォード・フォーカスと比べれば、どの車もいいに決まっていると始めた試乗であったが、筆者の選択が悪かったのか、中々、乗り換えるだけの魅力を持った車のに出会えなかった。
そんな中で、今回のCIVIC e:HEVは色々と不満点があるものの、少なくとも乗り味においてフォーカスより良いと感じた初めての車だ。
CIVIC e:HEVに限らずストロング・ハイブリッド車であればEV的な走りは味わえる。
筆者が評価したいのはEV的な走りもさることながら、路面の凹凸に対する車体の揺れの抑え方であったり、路面の状態を神経質に気にすることもなく楽々運転ができてしまうドライバビリティの高さだ。
一方で、フォーカスの乗り換え先をこの車にする決め手に欠けるのは、不合理なコストカットによって乗り味以外の魅力に乏しい点だ。
スマホの置くだけ充電まで備えながら、ディスプレイオーディオに未だに専用カーナビを備えるナンセンスさ。
こんなものに恐らく20万円以上のコストをかける代わりに、サンルーフやアンビエントライトを付けた方が良かったのではないか(本当はベンチレーションシートやスマートミラーを付けて欲しいが、海外向けでも装備されないのでしかたがないが)
CICIV e:HEV、とりあえずの初キープとする。

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