AT(オートマ)車のブレーキとアクセルの踏み間違い。
最近ではオートマのバスやタクシーが増えたため、ベテラン?ドライバーまでもが運転ミスによる事故を起こしている。
しかし普及して半世紀以上も経つオートマ車。
踏み間違えは今に始まったものではないのに、なぜ、近年、事故が話題になるのか。
「後付けできる急加速防止装置はどれがいい?」の調査を進めると、事故原因が必ずしも高齢者ドライバーの急増だけではなさそうなこと。
自動ブレーキや急加速防止装置以外にも、様々な対策があることが分かった。
父の車に後付けできる急加速防止装置を考えているんですけど、
おすすめはありますか。
トヨタが明かした現状の加速抑制機能の問題点
つい最近(2020年2月3日)になって、トヨタが「急アクセル時加速抑制機能」の開発発表を行っているんだ。
※トヨタ自動車「急アクセル時加速抑制機能」を開発
この発表で改めて分かったことは、今までの自動車メーカーの加速抑制装置は、障害物を検知して作動する仕組みだってこと。
そしてオートバックスから販売されている「ペダルの見張り番」のような汎用品は、逆に障害物を検知しないので常に急加速が抑制されてしまい、必要な加速が得られず危険なこともあるってこと。
※オートバックス「ペダルの見張り番II」
つまり、今はまだ機能的に十分な製品がないってこと?
残念ながら、そういうことになる。
自動車メーカーの車種を限定して後付けできる加速抑制装置は、今のところ、障害物がないと機能しないみたいだ。
踏み間違えで急加速するとパニックになり、更にペダルを踏み続けてしまう。
障害物が近くにないと、自動ブレーキで回避できないスピードになってから障害物に衝突してしまう。
一方、オートバックスから販売されている「ペダルの見張り番」は、一定速度以下で常に加速抑制機能が働いてしまう。
その為、抑制機能を一時的にキャンセルするスイッチ付きの製品「ペダルの見張り番Ⅱ」が追加された。
踏み間違いはヒューマンエラーが原因だから、手動スイッチを付けたら意味ないですよね。
キャンセル機能はアクセルを一度踏むと解除されるから、意味がない訳でもない。
むしろ抑制機能を切り忘れてアクセルを強く踏んでしまうと、ゆっくりと走り出すため、例えば割り込みに時間がかかり衝突される危険がある。
切り忘れもヒューマンエラーだからどうしようもない。
ところで国が進めるサポカーやサポカーSって知ってる?
衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置等を搭載した車のことなんだが、この定義の中で、ペダル踏み間違い時加速抑制装置はマニュアル車は付けなくて構わないとされているんだ。
なぜ付けなくて構わないか分かる?
マニュアル車はギアを切り替えないとスピードが出ない?
いや、ローギアのままでも軽く7,80キロまでは出せるよ。
マニュアル車は、なぜ踏み間違いをしないのか
そもそもブレーキとアクセルの踏み間違いは、低速走行や停車時に起こすミスだ。
例えば窓から手を出して駐車料金を支払ったり、顔を出して後ろを確認してバックの動作では、体を右にひねるためブレーキペダルから足が離れることがある。
左ハンドル車の場合は逆に、助手席側に体をひねって後ろを確認する動作で踏み間違いが起こる。
ブレーキペダルから足が離れると、オートマ車であればクリープ現象によって車が動き出すのだが、この時、離れた右足がアクセルペダル上にあると、ブレーキと間違えてアクセルを強く踏んでしまうことになる。
駐車場の出口からの飛び出し事故や、立体駐車場からの転落事故ですね。
クリープ現象のないマニュアル車は坂道でもない限り、ブレーキペダルから足を離しても車は動かない。
また低速走行にはクラッチを入り切りする操作が必要なため、左足をクラッチペダル、右足をアクセルペタルに乗せる必要がある。
発進時の操作は、最初に右足でブレーキペダルを踏み、次に左足でクラッチペダルを踏んでギアをローにする。
ブレーキとアクセルを踏み間違えたら?
停止時や低速走行でブレーキを踏む時は同時にクラッチを踏むので、ブレーキとアクセルを踏み間違えたとしても加速することはない。
そもそも左足でクラッチを踏むマニュアル車は、右足との開き角度がブレーキとアクセルでは異なるので踏み間違えには相当な違和感があるはずだ。
て、ことは、フットレストに左足を付けていれば、オートマ車でも踏み間違えは防げるってこと?
実は踏み間違え防止として、こんな製品もある。
明和「ペタル奉行」
ちょっと大きなフットレストそのものですね。
右側に突起が付いているのが特徴かな。
最近搭載車が増えてきたオートブレーキホールドも踏み間違え防止に役立つ機能と考えられる。
停止した後、ブレーキペダルから足を離してもブレーキがかかったままになる機能ですよね。
体をひねるなどしてブレーキから足が離れても走り出さないので、ブレーキと間違えてアクセルを踏むことがないんだ。
但し、バックの時の踏み間違え防止効果はない。
バックカメラとか全方位モニターがあると、後ろを振り向かずにバックできるので、これも踏み間違え防止になってる。
オートブレーキホールドと全方位モニターを組み合わせれば、ブレーキとアクセルを踏み間違える機会は相当少なくなるはずだ。
ここまでの話を整理すると、ブレーキとアクセルの踏み間違え対策には以下の方法がある。
踏み間違えの機会を減らす | 踏み間違えに気付かせる | 急加速させない |
オートブレーキホールド 全方位モニター バックカメラ | 明和「ペタル奉行」 フットレスト | オートバックス「ペダルの見張り番II」 急アクセル時加速抑制機能 |
アクセルを踏み込み過ぎて急加速することも
予期せぬ急加速は、ブレーキとアクセルの踏み間違えがなくても起こるんだ。
プリウスミサイルですか?
ユニークなギア操作についていけない高齢者が暴走事故を起こすなどとも言われているが、事故原因は違うのではないかと思う。
プリウスのようなハイブリッド車やダウンサイジングターボ車は、アクセルの踏み込み量がエンジンパワーと比例せず、かつ、速度によっても変化する。
走り出しがかったるいのでアクセルを多めに踏み込むと、次の瞬間、エンジンが始動したり、ターボが効き出してガッ!と加速することになる。
全然加速性能が良くもないのに、キビキビと走る車と錯覚させる演出だ。
それがなぜ事故に
俊敏な動作ができない高齢者にとって、予想外の加速への対応が遅れることが事故に繋がっていると思う。
特にモーター始動の車は、静かにゆっくりと走り出すので、運転経験の長い高齢者ドライバーからすると、実際の速度以上に遅く感じてしまう。
アクセルを深めに踏んだ次の瞬間、予想以上の速度になっていることに気付きパニックになる。
パニックになったらアクセルを更に踏み込んじゃいますよね。
そうなんだ。
人はパニックになると足を踏ん張ってしまう。
難しいですね。
メーカーは燃費が良くて走りもいい車を作らざるを得ないし。
高齢者であっても、そういう車を買うだろうし。
メーカーは加速抑制装置や自動ブレーキを付けることで、この問題を解決しようとしている。
確かにブレーキとアクセルの踏み間違え以外の、アクセルの踏み込み過ぎにも対応できる。
ただし最初に説明したように、現状の加速抑制装置は万能ではないのだ。
事故防止の決め手は、走り出す時の左足の位置だ!
待ってください。
何の装置もいらないんですか?
ここで話題となった色々な装置や機能は完ぺきではないものの、それなりの効果は期待できる。
事故はドライバーのミスによって起こるのだから、日々の運転方法を見直すことも考えて良いのではと思う。
変えることは1つだけ。
車を停止させたら左足もブレーキペダルに載せるんだ。
いつも通り右足ブレーキで停止させた後でいいんですよね。
その通りだ。
車の停止中にやることだから、落ち着いて、ゆっくり、誰でもできるはずだ。
自分の車でも試せるんですね。
これからいいですか?
ここからは駐車場の実際の車で説明するね。
まずは右足でブレーキを踏んだら、ギアをDに入れよう。
次に左足もブレーキペダルに載せる。
ブレーキペダルの幅は両足を載せるにはちょっと足りないけど、2/3程度ずつは載せられるよね。
足裏でブレーキペダルの淵を感じる程度に何とか。
では右足をブレーキペダルから離してみよう。
左足はブレーキペダルに載せたままだが、強く踏み込まなくても車は走り出さないよね。
本当だ。
軽く載せているだけなのにブレーキが効いている。
今の車はブレーキに倍力装置が付いているので、軽く踏むだけでも平地であれば車は動き出さないんだ。
左足の2/3ぐらいがペダルにかかっているので、万一、動き出すようなら、そのまま左足を踏ん張ればいい。
実際のブレーキはペダルとは直結していないので、踏み込み量が増えれば軽い力のまま、最大限のブレーキが働くようになっている。
ブレーキペダルは強く踏み込まなくても構わないんですね。
強く踏み込む必要があるのは、エンジンが停止して倍力装置が機能しない時だけだ。
これ、めちゃめちゃ楽ですね。
オートマ車って常に右足でブレーキかアクセルを踏んでるけど、信号待ちとかで右足をブレーキから離してもいいわけでしょう?
オートブレーキホールドと同じように右足を休めることができる。
更に、この方法がオートブレーキホールドより優れていることがあるんだ。
左足がブレーキペダルの上にあるってことですよね。
でも大丈夫なのかなぁ。
アクセルを踏むと・・・。
あぁ動き出した。
けど、左足の踏み込みを少し増やせば止まっちゃった。
納得です。
これはマニュアル車と似てますね。
半クラッチで速度をコントロールするのと同じだ。
ブレーキとアクセルの踏み間違えも絶対に起きない。
この方法がいわゆる左足ブレーキと違うところは、走行時のブレーキ操作はいつも通りの右足で行うこと。
発進時のみ左足ブレーキを使うことで、踏み間違えが絶対に起こらなくなるし、想定外の急加速も起こらない。
そして、誰もがすぐに実践できる点だ。
ところで、万が一、走行中にブレーキとアクセルを同時に踏むとどうなるんだろう。
ブレーキ・オーバーライドと言って、最近の車はブレーキが優先されるようになっている。
また、アクセルが絞られるように機能する車もある。
ブレーキ・オーバーライドがなくても、速度が落ちるだけで走り続けるだけだ。
この機能は低速時には働かないから、駐車場や坂道発進などでは、左足をブレーキペダルに載せたまま、右足でアクセルを踏めば、速度をコントロールしながら走り出せる。
そうか。
サイドブレーキを使わなくても坂道発進できちゃうんだ。
この方法の唯一ともいえる欠点は、ブレーキランプが点いた状態で走り出すので、後続車の人が戸惑うことかな。
半クラッチのような微妙な踏み込みには意味がないので、右足でアクセルを踏んだらすぐに左足を持ち上げよう。
そして車が流れにのったら、左足はフットレストなどいつもの位置で構わない。
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