NEXT to Focus #3|あくまでもセカンドカー用途と思われるシトロエン・C4

このブログは自動車評論家ではない筆者が、フォード・フォーカスの次に乗りたいと検討した車を乗り味、デザイン、使い勝手、そして所有感が持てそうなことに焦点を当てた超主観的な試乗記である。
判断基準とするフォード・フォーカスは2013年製。
7代目フォルクスワーゲン・ゴルフが登場する前年の2011年から販売され、2012年上半期には、単一車種として世界で一番売れたグローバルカーである。
但し、この車を日本国内で見かけることはほとんどない。

今回は初代の登場が90年前と言うシトロエンの代表車種C4だ。
本命のガソリン車の試乗ができなかったため、プジョー・2008も試乗してみた。

シトロエンDSに憧れていた筆者

筆者が抱くシトロエン車は、ピンクパンサーのクルーゾー警部が乗る2CV。
ガタガタ道の似合う、とてもスピードが出そうもない風貌の車は、アニメの中ではイメージ通りに壊れることもあったが、実際はスピードは二の次でも、悪路走破性が高く、耐久性にも優れたクルマだったようだ。
この2CV、1948年に登場したのだが、なんとFF車。
シトロエンが最初にFF車を出したのは1934年だから驚くまでもないが、当時の小型車はフォルクスワーゲン・ビートルのようなRR車が主流だったので、廉価な2CVにFFを採用できたシトロエンの技術力や製造能力の高さが分かるような気がする。

1979年製2CV

2CVのスタイルはクラシックカーっぽくもあり、あまりにも流行にとらわれない独自性があった。
同様に筆者が憧れたDSも、2CVと同様に後タイヤの上半分がボディーに隠れるスタイルで、すぐにシトロエンと分かったものだった。
現行のC4は2004年に登場したモデルからの継承とされる。
2010年からの2代目C4は、スタイル的にはシトロエンさのみじんもないほどフツーのハッチバック車だったが、2022年1月に発売された3代目C4は、足回りがSUVっぽいCセグメントのハッチバック車で、少しだけ独自性が復活したかなぁと思う。
ダリ、ピカソ、ミロなどの画家や、サグラダ・ファミリア教会などの建物、これらは全てスペインであるが、それらに共通するモダンさがシトロエンのデザインにあると筆者は思う。
同じラテン系でありながら、シトロエンはスペイン寄り、プジョーはイタリア寄りなのではないだろうか。
なので、この2社に言えるのは、まずはデザインが好みでないと、中々選択肢に入ってこないクルマと考える。
ちなみに筆者はスペイン芸術が大好きだ。
さて、今はシトロエンのDSに代表される高級車は、DSと言う別ブランドになっている。
ドイツのフォルクスワーゲンとアウディ、日本のトヨタとレクサスのようなものだ。
パリの街に似合いそうなDSが2015年にシトロエンから独立したことで、それ以降のシトロエンの新車のデザインは、どことなく2CVの流れをくむスペイン風モダンが戻ってきているように思うのは筆者だけだろうか。

1973年製DS

意外と地味な外観はライトで一変

前置きが長くなったが、まずはC4の外観についてである。
試乗したお店にあったのはディーゼルのC4とBEVのE-C4だった。
C4のカラーはブラン キャラメル、明るい赤茶色のメタリックであってオレンジとは違う。
筆者がオレンジではないと強調するのは、要するにボディーカラー的には意外とインパクトのない大人しい、悪く言うとちょっと野暮ったい印象を持ったからだ。
但し、正面から見るとルーフのガラスハッチが黒いためツートンのように見えるので、C4にはベストマッチのカラーなのかも知れない。
一方E-C4のカラーはブルー アイスランド、かなり薄い水色のメタリックで有償オプション色だ。
この色、どこかで見かけたなぁと思ったら、新型フィットの新色エアーライトブルーが近いかも。
筆者的にはどことなくヨーロッパを感じさせ、C4のようなコンパクトカーに似合う色だと思う。
ボディーカラーに関しては、黒とのマッチングをしてからも、初代C4のイエローが欲しいところだが、選べるカラーは他にソリッドの白と、グリ プラチナムと言うダークグレーがあるだけだ。
ちなみに本国でもイエローはなく、赤と黒とライトグレーの選択肢が増える。

多くの自動車評論家がC4の外観デザインは美しいとか、ユニークとか評しているみたいだが、筆者の印象は昼と夜の2つの顔を持ったクルマ。
ライトの点かないC4は、先代のイメージを引きずった大人しめなのに、ライトが点くと多眼ヘッドライトや大きくはないが主張の激しいテールランプが派手車へと変身させる。
少なくとも日本ではC4に出会う回数は多くないことだろうから、夜のC4はかなりのインパクトがありそうだ。
まぁ、LEDランプが普及して、特にテールランプのユニークな形状のクルマが増えてきているので、C4がどうのこうのと言う程のことではないのだが。
昼間のC4のインパクトが思ったほどなかったのは、地味なボディーカラーと陰影ではなく細部に凝り過ぎ感のあるボディー形状にあるような気がする。
エンジン比較の為に試乗したプジョー・2008のボディーは、側面のダイヤ型の陰影がはっきりと出ていてキラキラ感があったのが対照的だ。
また、プジョーは赤茶色ではなくオレンジなので、派手さのあるプジョーに対して、地味なシトロエンとの印象を持ってしまった。
まぁ、これがイタリア風とスペイン風の違いだとも言えなくもないと勝手に納得する筆者である。

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後席の乗り降りに難あり

ガソリンのC4にはベーシックなFEELと上位グレードのSHINEがあり価格差は35万円だ。
試乗は内外装が同じディーゼルのSHINE。
FEELとはサンルーフの有無、プライバシーガラスの有無、レザーシート、レーンポジショニングアシストの有無が主な違いになる。
レザーシートは上質で柔らかなのだが、ベンチレーションがないので夏場の暑さが気になるところ。
サンルーフは夏場の暑さを嫌う人もいるが、開放もできるタイプなので車内の熱気を逃がすのに役立ちそうだし、明るい車内は特に後席の快適度が全然違うと筆者は考える。
筆者的にはファブリックシートのFEELの方が快適と思われるのが、本国でもサンルーフは付けられないみたいだ。

C4の難点は後席の乗り降りだ。
リアに向かって下がるクーペスタイルの為、頭をかがめて乗り込まなくてはならない。
更にサイドシルが厚いために、かなり足を上げないと乗り込めないのだ。
お尻から入ったり、出たりも、このサイドシルの車内での高さがあって、ひざを結構上げる必要があり、かつ幅が狭いので、靴の向きを外向きにねじらなければならない。
シート下のドア側をわずかで良いのでえぐるような形状にすれば、後席の乗り降りがかなり改善しそうなのに残念だ。
まぁ、乗り込んでしまえば、ゆったりとしたシートと、ほどほどの足元のスペースはあるので、身長180cmぐらいまでの人なら座ることはできる。
C4より若干ホイールベースの短い2008は、よりSUVスタイルが強いためか乗り降りはスムーズにでき、かつ後席の足回りも広いのに、座り心地はC4より劣るのはBセグメントとしても割り切りなのかも知れない。
C4の電動シートはマッサージ機能まで付いていながらメモリー機能はないのは、前後移動のみ手動の為か。
ちなみに助手席も電動で、マッサージ機能も付いている。
「こんなことを確認した人は初めて」とセールスの人が言っていたが、シート背もたれはフラットにまではならないものの、仮眠できるぐらいに倒すことも可能だ。
なぜ確認したかって?代車で乗った2代目のフォーカスはダイヤル式で、シートを倒す発想がない車だったからだ。

ある意味、しょぼいトルコンATがDCT(DSG)的な乗り味を出す

C4のディーゼル音は車内に入ると気にならないほど静かだ。
トルコンの8速ATはクリープが弱く、駐車場から出るわずかな登り勾配で後退するほど。
しかし、このクリープが弱いことで走り出しに若干アクセルを強く踏んでしまうのと、1速目の変速比が5を超える程のローギアであるためか、小排気量ターボ車特有のかったるい走り出し感がないのだ。
しかも2速目の変速比は一気に3を下回るので、わずかであるが変速ショックがある。
これがトルコンでありながらDCT(DSG)ぽい味付けに感じられ、DCT好みの筆者には合っている。
そもそも低燃費走行の基本は、そこそこの加速で車の流れにのり、定速走行にできるだけ早くに移ることと言われている。
C4のディーゼルと2008のガソリンターボは、いずれも低回転領域で太いトルクが得られることを利用してか、一定のアクセルの踏み込み量であっても、ギアの方が勝手に2速、3速と切り替わり加速していく感が強い。
だから走り出しで若干強く踏んだアクセルを更に踏み込むことなく、素早く前車に追いつけるし、不快に感じない程度のギアチェンジ感で、加速のいいクルマと錯覚する効果もあって気持ちがいい。
更にアクセルを踏み込むと、ディーゼルもガソリンもエンジン音が大きくなり加速も増すのであるが、ガツンとくるような加速がある訳ではなくフツーの車であることが分かる。
今回の試乗では山道も高速も走らなかったので、ディーゼルのトルク感は分からず、ガソリンターボとの加速時の音の違いが分かるだけだった。
加速時のエンジン音をどこまで気にするかであるが、日常での走行距離の短い筆者にとって、ますますディーゼルの選択はないと感じた。

市街地走行で期待を裏切られる

プジョー・シトロエンの試乗では、やはり荒れた路面を試したくなる。
確かにマンホールをのり越えた時はC4の柔らかさを感じることができた。
しかし、C4と2008の差はあっても、どちらも荒れた舗装面のゴツゴツ感が伝わり過ぎて、しっとり感とは程遠い乗り味であった。
大人3名での試乗であったのに車体が軽すぎるのか、わずかではあるが跳ね上げ感がある。
実際にはそんなに振動が大きくないのかも知れないが、エンジン音が静かなためか気になってしまう。
フォーカスは路面の細かな凹凸が伝わってくるものの、すぐに振動が収まるのに対して、C4や2008は細かな凹凸に対する振動の収まりが悪い、もしくは細かな振動を伝えやすいのか。
C4と2008のゴツゴツ感は、特に後方で強く感じられるため、後ろが軽すぎると言うか、後輪のサスペンションがいまいちなのかも知れない。
う~ん。駐車場からの走り出しで一瞬感じたふわりとした乗り味は、C4に関しては試乗中に度々感じたものの、2008に関しては皆無で、後はゴツゴツ感が気になるばかり。
期待していただけに残念であった。

後席の乗り味が悪いC4と2008であるが、特にC4の後席は荷室からのロードノイズが大きく、前席での静かなイメージが全くない車だ。
逆に言えば後席で聞こえるロードノイズが車内全体に響かず、前席で静かなのが素晴らしいとも言える。
なぜ車内全体に響かないのかは分からないが、このロードノイズの指摘が他であまり見受けられないことから、もしかしたら後席のヘッドレストより割と上の方に音が集中していて、長身の筆者だからこそ気になったのかも知れない。
少なくともロードノイズは車外からの回り込みではないと感じたので、荷室の床下に静音シートを入れるなどすれば解決できる可能性はありそうだ。
このあたりはC4と2008の実車を見比べると、多くの部品が共通であるものの、同じガソリンのGTグレードの価格差で56万円もある2008の方が細部でおごっているのが分かり、シトロエンの合理性が垣間見られた。
2CVの流れをくむC4は庶民向けの実用車なのである。

今の車、どこで売る?

C4や2008はセカンドカー向きなのかも

C4と2008にはBEVもある。と言うか、世界的にはこちらを主流にしていかざるを得ない潮流がある。
これは何も環境問題だけでなく、日本のハイブリッドがガラパゴスになる兆し、かつての薄型テレビで画質が悪いとか色々と言われつつも、結局、液晶が主流となり日本メーカーが脱落していった経緯を思い起こされるのと同じで、そう考えると後方に重いバッテリーを積むBEVであれば、あのゴツゴツとした乗り味が変わるのかも知れない。
そもそも後席の出来の悪いC4や2008では、家族で遠出するような目的には適していそうもない。
家で充電して近郊までの移動に利用すると割り切れば、ガソリン料金のバカ高いヨーロッパではBEVの方が経済的と言える。
移動時間がせいぜい1時間程度なら後席の居心地が悪くても我慢できるだろう。
スペース的には大人だって余裕で座れるのだから。
日本だってほぼ同じではあるのだが、日本にはコスパ抜群の軽自動車があり、乗り味のみに2台分以上もするBEVを購入するのは、プラス200万円に懐が痛まないような人に限られそうだ。
かく言う筆者は1台持ちでロングドライブもしたいので、そもそもBEVの選択肢はない。
今回は購入前提のガチ試乗なので、当然BEVの試乗車に乗ることはなかったが、もしかしてC4と2008はBEVに合わせたクルマなのではと思ってしまった。

旅行は現地のレンタカーで良くないか

原稿を書きながら、ふと思ったのだか・・・
宿泊を伴う旅行は現地のレンタカーに頼ると割り切れる人なら、BEVをセカンドカーではなく1台持ちにできるのではないかと。
里帰りだって、地元でレンタカーを借りれば良いし、行き帰りは列車で渋滞に巻き込まれる心配もなくなる。
重い荷物は宅配を利用すれば済む。
後はBEVの日帰り旅行で渋滞に巻き込まれた時に電欠の心配がないか。
航続距離は日帰りだから実質200kmでも構わないが、エアコン、特に冬に6時間程度は使えないと安心できないと思われる。
BEVの電費は0.2キロワット/kmぐらい。
一方、エアコンは1.5キロワット/hぐらいだから、走行距離にして1.5÷0.2=7.5km程度。
渋滞もあって車内に6時間いるとすれば、7.5×6=45km分を航続可能距離から引いた旅行プランを立てる必要がある。
こんな計算式がBEVのカーナビに内蔵されていて、目的地を入れると電欠せずに帰ってこれるか表示されれば良いのかも知れない。
C4のBEVのカタログでの航続可能距離は405km。
バッテリーの劣化を含めても実質250km以上は確実だろう。
冬場での渋滞まで考慮すれば250-45=205km。
片道、約100km位までとなると・・・。
最悪のケースでの見積ではあるが、これで高速を使うような日帰り旅行は厳しいと考えるか否かである。
但し、BEVには数年後の新車価格が今後大幅に下がり、いずれはガソリン車よりも安くなるとの予想がされており、当然、中古車の買い取り価格も下がってしまうので、その辺の覚悟は必要だ。

食わず嫌いのプジョーも候補に

さてフォードの次を考える筆者にとってC4は色々と難点がありながら、わずかではあったが独特の乗り味と個性ある外観にちょっとだけ興味をひかれた。
また、プジョーのi-Cockpitは食わず嫌いであったと後悔している。
プジョー・シトロエンの小径ハンドルになんら違和感はないし、筆者はフォード同様な軽いハンドルが好みだ。
そもそも筆者は長身なのでアイポイントが高く、i-Cockpitはヘッドアップ・ディスプレイと何ら変わらない。
C4のヘッドアップ・ディスプレイのスクリーンのゆがみも全然気にならなかった。
そんな訳で、プジョー・シトロエンの他の車種も物色対象にして、次の車を探すことにする。

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