このブログは自動車評論家ではない筆者が、フォード・フォーカスの次に乗りたいと検討した車を乗り味、デザイン、使い勝手、そして所有感が持てそうなことに焦点を当てた超主観的な試乗記である。
判断基準とするフォード・フォーカスは2013年製。
7代目フォルクスワーゲン・ゴルフが登場する前年の2011年から販売され、2012年上半期には、単一車種として世界で一番売れたグローバルカーである。
但し、この車を日本国内で見かけることはほとんどない。
今回は試乗前で断念したフォルクスワーゲン・アルテオンについて述べたい。
中古で買う高級車って、どうなのか
アルテオンはフォルクスワーゲンの旗艦モデルだが、そこはフォード同様、庶民のフォルクスワーゲンだからドイツ御三家に比べれば格安車と言える。
そして何よりも、地味~なフォルクスワーゲンの中にあって唯一カッコいいと思える車だ。
街中で中々目にすることも少ないので、長く乗っても飽きがこない可能性が高い。
飽きがこないはとても重要なことだと筆者は考えている。
コスパや機能、性能を重視して機械ものを選ぶと、その喜びは購入時に最大になって、徐々に薄らいでしまう。
なぜなら、機械ものは改良、改善が図られていくから、買ったものは、徐々にコスパや機能、性能が相対的に落ちていき、じきに新製品が欲しくなる。
ところでアルテオンの新車は588万円からと、かなり高額なのだが、ここで例えば月平均に均して5万円、ボーナス払いなし、頭金なしでローン費用5万円の車を購入することを考えてみる。
3年で乗り換える人は、5 x 12 x 3 = 180万円しか車に費用をかけられないので、3年後に170万円で買い取ってもらえたとして、せいぜい350万円程度の車にしか乗れない。
9年で乗り換える人なら、5 x 12 x 9 = 540万円を車の費用にかけられるので、9年後に買取り額が30万円になっても、570万円の車に乗れることになる。
9年間で350万円程度の車を3台乗り継ぐのか、570万円の車を乗り続けるのかは、人それぞれとは思うが、筆者は570万円の車に乗る方を選ぶ。
こう書くと3年で乗り換えている人から車検費用がどうのことの言われるのだが、車検費用は新車購入時にもかかっているし、登録税なんかも余計にかかっていること忘れているのではと言いたい。
次に3年落ちの中古車ならどうだろうか。
9年目の車検前まで乗り続けるとして、5 x 12 x 6 = 360万円で、9年後の買取り額が30万円としたら390万円の中古車、いや、それなら570万円の新車を9年間乗った方が良くないか。
つまり390万円は新車で570万円の3年落ち中古車の損益分岐点と考えられなくもない。
例えば損益分岐点から40万円以上安ければ中古でも価値ありと考えてみよう。
390 – 40 = 350万円以下、3年落ち、走行距離3万キロ以下、修復歴なしのアルテオンは、カーセンサーに掲載された82台中たった2台であるが見つけられた。
残念ながら2台とも色はシルバーで、私の好みではない。
中古車はとりあえず保留だが、まずは実車を確認したく、近くのフォルクスワーゲンのショールームに行くことにした。
希少なイエローのアルテオン
ここで話を元に戻すが、長く乗っても飽きがこない車とはどんなものなのだろうか。
9年乗っても古臭く感じないためには、時代を先取りしている必要はないか、例えばBMW i3は今でも近未来的なデザインに思える。
唯一無二ではないが、希少性が高ければ良いのではないか、例えばピンクのクラウンのような限定色もありかも知れない。
さて、アルテオンは2017年に登場し、2021年にマイナーチェンジと共にシューティングブレークが追加されているとは言え、初代後期モデルであるから、数年のうちにフルモデルチェンジがある、または兄弟車のパサートのように生産終了となるかだ。
筆者は最初に述べたように、アルテオンの売りはスタイルの良さだと思っている。
特に正面から見た時の印象がとても良かったと記憶していた。
しかし、いざフォルクスワーゲンのショールームで、新型ゴルフなどと並べられたアルテオンを正面から見たら、「う~ん、アルテオンって、これだよね。」ぐらいの印象になっているではないか。
そう、アルテオンが登場して5年経ち、他の車種もアルテオン顔にモデルチェンジされていたのだ。
こうなるとピンクのクラウンに相当するイエローのアルテオンしかなさそうだ。
イエローはアルテオンのコンセプトカラーで、2021年のマイナーチェンジから選べなくなった。
つまり初代前期モデルのみで、恐らく不人気色であるから販売台数も少ないことが考えられる。
実際、フォルクスワーゲンのセールス担当者に聞いてみたところ、今までに3台しか売っていないとのことだった。
カーセンサーでの登録台数も4台と少ない。
ちなみに筆者はイエロー、全然OKの人である。
実車を見てアルテオン熱が冷める
さて、いよいよアルテオン本来の試乗記と言うか、ショールームでの実車感想になる。
車内の第一印象は狭い。
いや、実際には十分な幅や、前後シート間隔もあるのだが、黒い天井に包み込まれている視覚から狭さを感じてしまう。
黒い天井が好みの人も多いと聞くが、窓の外の景色は大抵が白っぽいことを考えると、同時に視界に入ってくる天井やAピラーが黒だと、とじ込まれ感が強くなるので、天井高の稼げないような車には不適な色だと筆者は思う。
2018年に登場したEleganceだと内装色が選べるのだが、もうこの段階でイエローがなくなっている。
次に、「これってパサートだよね」と、同クラスの他車より安くて当然と思えてしまうインテリアの質感だ。
確かに、この質感に手を入れたらアウディとの差別化が難しくなるからなのか、あぁ、この車の人気のなさが分かったような気がしたのだ。
全高がほぼ同じ、黒い天井、それなりのインテリアの質、スタイルがカッコいいとの評判の高いCセグメントのMAZDA3は約300万円。
Dセグメントのアルテオンは、ほぼ同じような質感で約600万円もする。
そう考えると、使えるかも分からないような先進機能全部盛りをやめて、できれば400万円(台)で出してくれればなんて思ってしまった。
アルテオンで良かったのは、結局、スタイリング上必要になったのであろうバカでかいトランクルームだけ。
ステーションワゴンだと上部が開かないので、奥の方まで手が届かなくなるのだが、アルテオンなら横から・・・でも何に使うんだ?
350万円以下のイエロー・アルテオンの中古車を真剣に購入検討していた筆者の熱はすっかり冷めてしまった。
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